
ブレーキフルード交換は難しい・面倒だ
と思っていませんか?
特にエアー抜き作業が難しく感じますよね。
しかしエアー抜きはブレーキの仕組みさえ分かれば難しくありません。
エアー抜きで大切なことはブリーダーバルブを締めるまではブレーキレバーを絶対に離さないことです。
しっかりと整備されたブレーキの場合、エアーが入ってくる所(外気に触れるところ)はリザーバータンクかブリーダーバルブしかありません。
リザーバータンクはフルードで満たされていればエアーが入ってくることはありません。
なのでエアー抜きをしてもブレーキタッチが戻ってこない場合は
となってしまっている可能性が高いです。
この記事ではブレーキフルード交換とエアー抜きの方法をまとめたので作業の参考にしてください。
フルード交換をしないといけない理由
ブレーキフルードを交換しなくてはいけない理由は次のようになります。
- ブレーキタッチが柔らかくなる(ブレーキが効かなくなる)
- べーパーロック現象が起きる
ブレーキフルードはバイクに乗っていなくても劣化していきます。
ブレーキフルードの劣化が起きるのはブレーキフルードには吸水性があり空気中の水分を含んでしまうため。
水分を含むとブレーキフルードの沸点が下がり、ブレーキフルードが沸騰すると気泡が生じブレーキタッチが柔らかくなりブレーキが効かなくなります。(ベーパーロック現象)
ブレーキフルードに熱が加わり沸騰することで気泡が生じブレーキが効かなくなる現象。
長い下り坂や山道などでブレーキを頻繫に使うと起きるトラブルでブレーキが効かなくなるので非常に危険です。
べーパーロック現象は劣化したブレーキフルードを使い続けることで起きやすくなります。
ブレーキフルードは同じものを使い続けることで空気中の水分を含んでいき沸点が下がります。(ブレーキフルードDOT4の沸点は230℃それに対して水の沸点は100℃)
ブレーキフルードは時間が経つにつれて空気中の水分を含んでいき劣化していくので定期的に交換する必要があります。
ブレーキフルードの交換時期
バイクのブレーキフルードの交換時期の目安は1~2年、走行距離なら1万~2万kmになります。
交換時期が過ぎているもしくは前回はいつブレーキフルードを交換したか分からない場合は早めにブレーキフルードを交換しましょう。
ブレーキフルード交換の工賃
バイク用品店に頼んだ際のブレーキフルード交換の工賃は¥1600~¥1800程度になります。
ブレーキフルード交換は慣れていないと時間がかかることもありますし、ブレーキフルードなどで手が汚れます。
時間がない方やあまり手を汚したくない方はショップに頼んでみるのも良いでしょう。
ブレーキフルード交換のメリット
ブレーキフルードを交換するメリットはブレーキタッチが固いフィーリングに変わりライディングが一層楽しくなることです。
知らないうちにブレーキタッチが変わっていて「ブレーキってこんな感じだったっけ?」と思うことはないでしょうか。
それはブレーキフルードが劣化してしまいブレーキタッチが柔らかくなっているのが原因です。
ブレーキフルードを交換してみると本来のブレーキタッチに戻りブレーキをしっかりとかけれるようになるので気持ちよく走ることが出来ますよ。
ブレーキフルード交換とエアー抜きの手順・必要な物や工具
ブレーキフルード交換・エアー抜きの際に特別な工具は必要ありません。
プラスドライバーや8mmのスパナがあれば作業が出来ます。
ブレーキフルード交換とエアー抜きに必要な物・工具
工具

- プラスドライバー
- スパナ(8mm)
プラスドライバーはリザーバータンクの蓋を開けるのに必要になってきます。
8mmのスパナはブリーダーバルブを緩めたり締めたりするのに使います。
必要な物

- ブレーキフルードDOT4(500ml)
- 注射器とチューブ
- 水差し
- 空のペットボトル
ビラーゴ250のブレーキフルードはDOT4になります。
ブレーキフルードを選ぶ時はDOT4のブレーキフルードを選びましょう。
ブレーキフルードは500mlと100mlで売られていることが多いのですが500mlを購入することをおすすめいたします。
なぜなら100mlではビラーゴ250のブレーキフルードを全交換するには足りませんし、ブレーキフルード交換になれていないとエアーが噛んだりして余計にブレーキフルードが必要になるケースが多いからです。
ビラーゴ250の場合フロントブレーキにしか使わないので500mlの半分くらいしか使いません。
しかし、ブレーキフルードが残ったとしても徐々に空気中の水分を含んでいき劣化してしまうので次回に使う事はやめましょう。
注射器とチューブがあるとブレーキフルード交換の作業がグッと楽になります。
チューブはブレーキフルードの色が判別できる色のホースにしましょう。
またチューブは長い方が作業がしやすいですよ。
チューブの長さの目安としては1mくらいあれば十分でしょう。
チューブが短いとペットボトルなどのブレーキフルードを受けようとするものにチューブが届かない場合があるので注意。
水差しはリザーバータンクにブレーキフルードを入れる際にあると便利です。
ブレーキフルードはバイクの塗装を剥がします。
リザーバータンクにブレーキフルードを缶のまま入れようとするとこぼしてしまう恐れがありますが、水差しを使うとブレーキフルードがこぼれにくくなるので便利です。
水差しはリザーバータンクにブレーキフルードが入れられるような先端が細いものを選びましょう。
100均の水差しで十分に使えます。
空のペットボトルを用意しておくとエアー抜きの際にブレーキフルードを入れておくことができますよ
。
ブレーキフルード交換手順
ブレーキフルード交換をする前に注意してほしいことがあります。
それはブレーキブレーキはバイクの塗装を剥がすという事です。
フレームやタンクにかかったときは直ぐに水洗いする、ウエスで拭き取るようにしましょう。
ブレーキフルードがかかりそうな所はシートなどで予め養生しておくとブレーキフルードが飛び散っても大丈夫。

1.リザーバータンクの蓋をあける
リザーバータンクの蓋を外す際はブレーキフルードが飛び散りやすいのでリザーバータンクの周りにウエスを巻いておくとタンクなどにブレーキフルードがかかりにくいでしょう。
あらかじめ地面と水平になるようにハンドルを切っておくとリザーバータンクの蓋をあけた時にブレーキフルードがこぼれにくいですよ。
しばらくリザーバータンクの蓋を開けていない場合、ネジが固着している可能性があります。
無理にプラスドライバーで回そうとするとネジの頭がなめてしまい最悪ネジが取れなくなってしまいます。

ネジが固着している場合はまず潤滑油をかけてしばらく放置してみましょう。
しばらく経ったあとに再びプラスドライバーでネジを回すのですがプラスドライバーでネジを押す力を8割回す力2割くらいの割合で回すのがネジの頭をなめにくく回すコツになります。

2.リザーバータンクの蓋の内側についているダイヤフラム(ゴム製の部品)を取り外す

3.リザーバータンク内のブレーキフルードを抜き取る
リザーバータンク内のブレーキフルードを抜き取る前にブレーキフルードの状態を確認しておきましょう。
ブレーキフルードが黒色や茶色になっていたら劣化しています。
ブレーキフルードが透明や薄黄色をしていればそのブレーキフルードは新品に近い状態でしょう。
リザーバータンク内のブレーキフルードを抜き取る時は注射器であらかた吸い取った後にキッチンペーパーなどで残りをきれいに拭き取ります。

4.新しいブレーキフルードをリザーバータンク内に入れる
こぼれない程度でリザーバータンク内にブレーキフルードをいっぱい入れましょう。

5.ブリーダーバルブにチューブをつける→その反対の先に注射器をつける
ブレーキフルードを抜くときは飛び散る恐れがあるのでバケツに水をためておくと良い、飛び散ったブレーキフルードを拭き取るためのウエスも十分に用意しておきましょう。

6.ブリーダーバルブをスパナ(8mm)で緩める
※本来ならブリーダーバルブを緩めるのはメガネレンチが最適ですがビラーゴ250にはキャリパーのスペースの問題でメガネレンチが入りません。

7.リザーバータンク内のブレーキフルード残量に気を付けつつ注射器で吸い上げてブレーキフルードを抜く
ブレーキフルードを抜く時はリザーバータンク内が空にならないようにブレーキフルードが少なくなってきたら足していきましょう。(リザーバータンク内のブレーキフルードがない状態のまま注射器でさらに吸い上げるとエアーが噛んでしまいます)
※リザーバータンク内にブレーキフルードを足すときはブレーキフルードをこぼしやすいので水差しに入れてから入れると良いでしょう。(タンクにブレーキフルードがかかると塗装が剥がれます)
注射器でブレーキフルードを抜くときはコツがあります。
注射器を引いた状態で手を離してしまうと元の位置に戻ってしまうので注射器を引いたらブリーダーバルブを締めましょう。
すると注射器は元の位置に戻らず古いブレーキフルードを抜くことが出来ます。
注射器でブレーキフルードを抜く作業を新しいブレーキフルードがチューブから出てくるまで繰り返し行いましょう。
新しいブレーキフルードが出てきたかの判断はブレーキフルードの色でします。(古いブレーキフルードは黒色・茶色、新しいブレーキフルードは透明もしくは薄黄色をしている)
このやり方で作業すればエアーを噛むことなくブレーキフルードを交換することが出来るでしょう。
しかし念のためにブレーキフルード交換をした後はエアー抜きをしておくと安心です。
エアー抜きの方法

1. ブリーダーバルブにチューブをつける→その反対の先に注射器をつける
この時リザーバータンク内にブレーキフルードを満たしておきましょう。

2.ブレーキレバーを握る
左手でブレーキレバーを握り右手はブリーダーバルブをスパナ(8mm)で緩められるようにしましょう。

3.ブレーキレバーを握ったままの状態でブリーダーバルブをスパナ(8mm)で緩める
ブリーダーバルブを緩めるとブレーキレバーの感触が軽くなるので、ブレーキレバーを握った状態からさらに握りこんで古いブレーキフルードを出します。
正常であればブリーダーバルブ側のチューブの先端から古いブレーキフルードがちょろっと出てくるはずです。
ブリーダーバルブを緩めたままブレーキを握っても油圧はかかりません。
ブリーダーバルブを緩める→締めるの動作が終わるまでブレーキレバーを絶対に離さないようにしましょう。
ブレーキホースにエアーが入るとブレーキレバーのタッチが柔らかくなりブレーキフルードが排出にくくなります。
4.ブレーキレバーを握りこんだ状態のままブリーダーバルブをスパナ(8mm)で締める
中途半端にブリーダーバルブを締めた状態だとブレーキレバーを離した時にフルードが逆流し一緒にエアーが混入する可能性があります。
ブリーダーバルブは確実に締めてからブレーキレバーを離しましょう。
以上1~4の動作をエアーが出なくなるまで行います。
※リザーバータンク内のブレーキフルードが無くならないように確認しながら作業しましょう。
エアー抜きのコツはハンドルを左に切った状態と右に切った状態それぞれで作業を行うとエアーが抜けやすいです。
エアーが抜けたかはブリーダーバルブを締めた後にレバーを握って見てブレーキタッチが戻っているかで確認。
必ずエアー抜きをする時はブレーキタッチがしっかり戻るまで行います。
最後にリザーバータンクのアッパーラインまでブレーキフルードを入れて完了。
まとめ
この記事ではブレーキフルード交換とエアー抜きについてまとめました。
- ブレーキフルード交換で難しいのはエアー抜き
- エアー抜きで大切なことはブレーキレバーを離すタイミングとブリーダーバルブを締めるタイミングを合わせること
- ブレーキタッチが柔らかくなってきたり前回のブレーキフルード交換から2年が経っている場合はブレーキフルード交換をする
- リザーバータンク内にブレーキフルードが入っている場合はブレーキフルードを継ぎ足して交換する(同時にエアー抜きもしましょう)
- リザーバータンク内のブレーキフルードがない場合は必ずエアー抜きを行う
ブレーキフルード交換は比較的簡単な作業になりますが手順を間違えたりしっかりと理解していない状態で作業してしまうとブレーキ本来の性能を出すことが出来ず思わぬ事故につながりかねません。
ブレーキフルード交換に不安がある場合はまずディスクブレーキの仕組みを理解することから始めてみるのをおすすめいたします。
ブレーキフルードがどういった所を通っているのかが分かればブレーキフルード交換はグッと簡単に出来るようになりますよ。
ブレーキの良くあるトラブルについて知りたい方はこちらをご覧ください↓
ブレーキフルード交換をして安全なバイクライフをお楽しみください。
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